【温泉宿レビュー】山中温泉 花紫 食事処「にほん」でいただく懐石「錦秋」|静けさと季節を味わう夕食《食事レビュー》

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🍶 花紫 夕食「錦秋」― 食事処「にほん」にて

夕食は、宿内の食事処「にほん」でいただきました。

私たちが滞在しているスイートの洗練された空間とは対照的に、食事処〈にほん〉は土の質感や木の温もりに包まれた、心がゆるむような雰囲気でした。

完全な個室ではありませんが、透け感のある間仕切りで緩やかに仕切られており、隣席の気配は感じても、姿までは見えないつくり。
それぞれのテーブルの間隔も広く取られているため、程よい距離感で落ち着いて食事を楽しむことができます。

「にほん」は花紫のメインダイニングにあたる場所で、木の質感を活かしたテーブルと柔らかな照明が印象的。

🍁【夕餉】錦秋 ― 山中温泉 花紫

① 季節の逸品

季節の前菜として供された一皿。
貝と秋の食材を、マイルドな酸味のジュレとともに。
食材の食感の違いが口の中で楽しい。この後に続くお料理が楽しみになりました。


② 甘鯛のお椀 黒舞茸 茗荷

椀種の甘鯛が香ばしい。
黒舞茸と茗荷の香りが重なり、秋の滋味が口の中に沁みる。
火入れと塩加減の繊細さに、料理長の技が光ります。


③ 本日のお造り

今が旬の戻り鰹、美しく引き立てる盛り付けで。
脂ののった身質に、繊細な包丁仕事。
薬味と醤油の塩梅が絶妙で、素材本来の旨みが引き出されている。


④ 橋立港 鰆 甘唐辛子

橋立港から届いた鰆を香ばしく焼き上げた一皿。
ふっくらとした身はしっとりとして、ほどよい脂が上品。
添えられた甘唐辛子が期待したよりも甘い。その甘みと香りがアクセントとなり、全体を引き締めている。


⑤ 秋茄子と無花果

茄子のとろりとした食感と、無花果の優しい甘み。
上に添えられたいくらの塩味が全体をまとめ、
口に広がる旨みと甘みの対比が心地よい。器の美しさも印象的。


⑥ 毛蟹と加賀蓮根の春巻

加賀蓮根のしゃきしゃきとした歯ざわりと、毛蟹の濃厚な旨み。
薄衣の中に閉じ込められた秋の香りを、檸檬でさっぱりと仕上げて。
シンプルながら技を感じる逸品。


⑦ 白山なめこと鮑

なめこと鮑の食感が絶妙。
出汁の深みが心地よく、口に含むほどに旨みが重なる。
温かみと上品さを兼ね備えた一品でした。


⑧ 石川特別栽培米こしひかり/澄まし/香の物/能登牛

締めの御飯は、石川県産の特別栽培米こしひかり。
ふっくらと艶があり、一粒一粒が立っている。
能登牛の小鉢は控えめな味付けで、素材の旨みを活かした仕立て。
香の物と澄ましが、食後にやさしい余韻を残しました。

🍎 デザート 栗と季節のフルーツの最中

甘すぎない栗のピュレと季節のフルーツがあっさりとしててよかったです。一口、二口サイズなので、お腹いっぱいになった後のデザートとしてちょうど良いです。


🥩 お料理の追加オーダー

お料理は、追加メニューも用意されており、足りなければ別注文も可能とのこと。
ただ、ラストオーダーが20時で、私たちのコースは19時スタートだったため、途中での追加は見送りました。
結果的に最後のご飯とデザートまで終えると、ちょうどよい満足感。
量としては、女性や年配の方には十分ですが、食べ盛りの男性にはやや控えめに感じるかもしれません。


🍷 木製のワイングラス

印象的だったのは、ワインが木製のワイングラスで提供されたこと。
マットな質感とフォルムの美しさには見惚れましたが、
実際にこの器で飲むと、個人的には少し違和感がありました。

特にこの暗い色の木製グラスに赤ワインを注いだ時のお酒の進まなさよ…。黒い入れ物に入った赤ワインは黒い謎汁にしか見えない(笑)

最近は「ワイングラスで日本酒を」など、
器と飲み物の組み合わせを変えて楽しむ提案もあります。
ただ、唇に触れる質感や温度の伝わり方が味の感じ方に大きく影響することを体感しているため、
やはりワインにはワイングラス、日本酒にはお猪口が一番しっくりくるな、と思います。
結局のところ、昔の人たちがそのお酒のために作った器には、ちゃんと意味があるんですよね。

器としては大変素晴らしい作品でしたが、「鑑賞したい器」と「飲みたい器」は、少し別物ですね。



🌿 総評

全体を通して、華やかさというよりも、落ち着いた季節感を大切にした懐石という印象でした。
ひと皿ごとに主張は控えめながら、出汁や火入れの丁寧さが伝わってきます。
盛り付けや器の選び方も派手すぎず、静かに“秋”を感じさせる雰囲気。

コースの流れも自然で、一つひとつの量も程よく、食後には満足感がありました。


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